レントゲンやCTで異常が無く3週間以上続く咳を長引く咳(遷延性咳嗽)と言います。
長引く咳には以下のような疾患があります。
長引く咳の中で、最も多いのが咳喘息です。咳喘息はアレルギーによって起こる病気です。アレルギーによって起こる肺の病気は気管支喘息がありますが、気管支喘息のようにヒューヒュー、ゼーゼーや呼吸困難をともなわない、咳だけの症状の喘息です。
といった症状は咳喘息を疑います。
最近は吐く息の一酸化窒素(FeNO)を測定し、気管支のアレルギーの強さを調べられます。FeNOの高い方は80-90%咳喘息です。
咳喘息は薬で治せます。気管支拡張剤と言う、気管支を広げる薬で咳は止められます。しかし治療はこれだけでは不十分です。
咳喘息の病態はアレルギー性の気道の炎症です。気管支拡張剤で咳は止まっても、気道の炎症を抑えないと、再度風邪やアレルギーで刺激を受けるとすぐに再発をします。これを繰り返すうちに5年以内に3-4割の患者さんが気管支喘息に移行します。これを防ぐには咳が止まっても吸入ステロイド剤で気道の炎症を抑える必要があります。咳喘息は治る病気ですが喘息になるとなかなか治りません。
咳が止まると治療をやめてしまう方がいらっしゃいますが、咳が止まっても気管支の炎症は続きますので吸入ステロイド剤で気管支の炎症を抑えないと喘息へ移行してしまいます。
長引く咳のある方は受診して下さい。
気管支喘息と同様の病態であるが、ヒューヒュー、ゼイゼイが目立たず、呼吸機能検査を行うと気管支喘息と同様のパターンを示す病気。
胃酸の食道への逆流は胸やけ、胸痛だけでなく、胃酸が気管支を刺激することにより咳の原因となります。逆流性食道炎のお薬を飲むことにより、すみやかに咳はおさまります。
ストレスが原因の咳です。いろいろな治療をしても診断に至らない場合などに疑います。
慢性副鼻腔炎と下気道の炎症が合併し、膿性の痰を伴う咳が続く。
エリスロマイシンを少量投与すると改善します。
ACE阻害薬では約5~10%の人に空咳の副作用がでます。しかし、最近ではこのことが周知され、患者さんは減少しています。